作文・小論文−入学・編入試験対策、さらに超えてその先へ

コラム:週刊モンモントーク

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[75] "Don't Be Evil." - ケン・ソゴルの場合(追記) -

1.タイムトラベル1983 - 「過去の歴史を狂わせてはいけない」 -
ケン・ソゴルに会いたいというその想いは、ケン・ソゴルを知ってしまった者にとってはおそらく、普遍的なもので、そしてそれは、ケン、じゃなくてケン・ソゴルで、深町君、じゃなくてケン・ソゴルで、ましてや、チアキ、じゃなくてケン・ソゴルで、でなきゃダメで...、何なんだろうこの、憧れにも似た畏怖の気持ちの正体は?。

記憶の中のケン・ソゴルは無表情でどこまでも沈着冷静で、感情の揺らぎは微塵もないかのよう、が、彼は感情を理性で抑えていた、で、その27世紀の理性は、善悪の判断を超えた真の"純粋"理性で、じっと感情を観察し判断し行動し、感情で理性を抑制する、そう彼は、理性を感情で抑えてもいた、だ、歴史を変えてはいけないとなる。

歴史とは文化そのもの、人の実存の寄って立つ基盤、そう、歴史とは記憶、記憶の束が個人を作り、その個人の束が社会を作る。人である証、概念化された記憶は、体系化された歴史は、構造化された文化は、人だけが持つ。

2.タイムトラベル2010 - 「僕の使命は君と君に関わった人間の記憶を消すことだ」 -
だからおそらく彼の使命は、体験を経験として概念化させないことで想い出として記憶に残させないこと、その場所やラベンダーの香りや8㎜の映像や、何かモノへの郷愁のような、なまの体験そのものを消すことじゃない、というよりそんな、概念化される前のなまの体験そのものは、ヒトの動物としての体験で、消しても消えようがない。

そして彼の、真の使命は過去を変えないことで未来を変えないこと、それは、ヒトの種としての継続性を第一と考え、個人のせいを顧みないこと、いや、すべての個人のせいを顧みることの不可能性を悟り、17世紀に産声を上げた近代理性が到達した最高峰、「個人の尊厳」に感情が異を唱え27世紀理性が"純粋"理性的に判断した...。

だから、分かっていても助けない、いや、助けられない、シマウマなら仲間の一頭が倒されれば、そこで動きを止め草喰みを再開するだけ、でも、経験が概念化されるヒトは、その不条理に耐えられず涙し、意味を探し彷徨い始める。

3.タイムトラベル2018 - 過去から...余りにも絶対的な...未来へ -
透明度40mの湖の底に横たわれば、透明度138億光年の宇宙の底が見えるだろうか。碧く透き通った君の瞳をのぞき込めば、46億光年彼方に輝く地球テラと呼ばれる星に行けるだろうか。記憶の底の薄紫色の花の透き通った透明な氷に閉じ込められたような微かな希望、それは余りにも、絶対的で...、絶対的な...、絶対的で...、

過去から未来への一方的な時間の流れの中で、時間旅行者を気取った。行き先も速さも何も決められないのに、時速1時間で時の流れの中を旅する時間旅行者を気取った。独りだけの時を一人で過ごす、それが時間旅行者の過ごし方、時速1時間で時の流れに身を任す、時間旅行者の、時の旅人の時の過ごし方...。

絶対的な絶望、それでも人は、生きようとするのか。白鳥が­悲しみの声を上げて鳴き、すべてを忘れ去ろうとするように、白鳥が水煙を上げて悶え、慟哭を空へ散らすように、絶対的な絶望、その中でも人は、生きられるのか。

4.タイムトラベル2010 - 「未来の桜を見る君へ」 -
結局、善とは何かという問題で、それに答えはないと薄々、皆、気づき始めていて、前世紀、未来は決定されてるというラプラスの悪魔が不確定性原理により否定されたことは絶対的な神の存在にとどめを刺し、何が何か分からず自分だけは、"善"の側にいたいと、いるはずと人は、生の意味を求めて時の狭間を漂流し始める。

光の神アフラマズダと闇の神アンラマンユの戦いの神話は架空のお話だと誰もが分かってるのに、それでも、善悪の判断の基準が、絶対的な基準があるはずだと信じたい、それが人だから。種の存続という究極の目的がプログラムされた生物の本能、ヒトも例外ではなく、そのためには個の存続は必要条件であるだけで...。

なのに人はそれを、必要十分条件だと自身を欺き、自然の摂理に反すると、今さらなんだが、指摘することもできず、誰もが自然主義的誤謬を犯し素直になれず、何が自然で当然のことなのか誰にも分からなくなる。

5.タイムトラベル1972 - 「せめて君の中にだけ僕の記憶を残していきたい」 -
タイムトラベルは善か悪か、たぶんそれ自体に善悪はない、そう、人が何かをする時、それ自体に善悪はない、それは人が構造的に定める虚構、だからそれは、その時その場所での「普遍化可能性」、記憶というデータを基に外界を概念化し世界を創造する。その創造にその時空だけの特殊な「普遍化可能性」のありやなしやが問われる。

-♪あなた 私のもとから 突然消えたりしないでね...-

ケン・ソゴルに会いたいというその想いは結局、何かに誰かに導かれたいという願望?、人として群れ、社会を作るヒトの本能?、思い出は人が人の生を生き抜くための勇気、結局人って、そんなふうに出・来・て・る・の...?。

-「でもそれは許されないことなんだ」-
-♪There are places I'll remember all my life, though some have changed...-





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