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コラム:週刊モンモントーク

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[63] 緊急特番:「日本国憲法」という"聖典"

1.「不磨」
日本国憲法の素晴らしさは、読んでみないと分からない。護憲派、改憲派、それぞれの立場から様々な意見があるが、そういったノイズを排除し、謙虚に耳を傾けた時、高らかに歌い上げるその理想は、燦然と輝きを放って光る。

前文のキラめく珠玉のような言葉、「自由のもたらす恵沢・国民の厳粛な信託・恒久の平和・崇高な理想・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼・平和を維持・名誉ある地位」ー他の歴史的テキストからのコピペだという指摘は批判にならない!ー17世紀以来追求してきた、「人類普遍の原理」の集大成といって過言ではない。

第11条の「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」に始まる様々な権利が、自由と平等を保障し、第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」ー生存権の端的で過不足なきこれ以上の表現はない!ーでクライマックスを迎えるその高揚感、人として持つ普遍的な何かを、真理を思わず確信する。

2.「安寧」
そしてその「基本的人権の尊重」の前に登場する「第2章 戦争の放棄」と、さらに一つ前の「第1章 天皇」に定められた象徴としての天皇陛下、つまり、やんごとなき有り難き存在を象徴とし、争いのない平和な世界の自由と平等が保障された社会、その何か、あり得ないけどあってほしいーみたいな、懐かしささえ感じさせるユートピア。

「平和主義」は、第2章というより"9条"で有名、とくに"2"として定められた「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」は究極の非暴力主義(のはず...!?)、とにかく話し合い、諍いはすべて対話で解決、誠意を持って対応すれば誠意が返ってくる、正義を行えば、心が通じ合い必ず分かり合えるってね。

何なんだろう、この気持ちよさ、心地よさの原点は?、安らぎと和らぎの合わさったような、子供の頃ふと感じた、あの守られてるって大丈夫だっていう無意識の、フカフカの布団にくるまってポカポカと眠りについた安心感。

3.「矛盾」
日本国はガンジーになろうとしたのか、徹底的な非暴力と不服従で。でもそうすると、自由と平等を満喫するっていうユートピアからは程遠い。そう、現実はキビシー、自衛隊という「陸海空軍その他の戦力」に当たらない実力組織?を持つに至り、それでも、国連憲章に定められてる「集団的自衛権」は、持っているが行使できない、とされてきた。

「非核三原則」とは言いながら、密約が暴かれー密約を結んだのはノーベル平和賞の佐藤首相ー「持ち込ませず」は形骸化してたとは。でもそれ以前に、日本はアメリカの核の傘の下だし、戦力は云々も、アメリカ軍の駐留はいいんですかって、自衛隊は盾・アメリカ軍は矛、ってのも、攻めるのは他国の軍隊ならいいのって、ヘンじゃない?。

何かがオカシイ、でも、それはまだ対話が足りないからと、理想に向かうんだと、どれだけかかるか知れないけどきっとユートピアはやって来ると、努力が、修行が、祈りが、信心が、お布施?が足りないからだと...!?。

4.「合一」
えっ!?、それって宗教の構造!?、宗教は死後に、9条は未来に、理想郷を見る、今の努力が大切、その一生懸命な姿勢に意味があるって。それ自体は別に悪くない、ただ、目の前の現実を生きなきゃならないことは忘れるな。

というか、殆どの人は分かってる、"聖典"の一字一句をそのまま現実世界へ持ち込もうとする原理主義者は、現実世界に混乱をもたらすって。だから人は、それはそれこれはこれとして、"聖典"を時代に合わせて読み込む、解釈を変える。だからといって、テキストそのものも変えようとはしない、積み上げられた文化的真理がそこにあるから。

それが宗教の宗教たる所以、でも、宗教的なテキストでなく世俗的なテキストなら、立憲主義を語るなら、状況に合わせて変えねば却って危険、解釈は人によって異なるから。そして、時代は二つの意味で変わった、一つは日本を取り巻く環境の変化、二つは17世紀以来、求め追求してきた普遍的真理の動揺「絶対矛盾的自己同一」は可能か!?。

5.「飛翔」
書いてることとやってることが違っても許される?のが宗教、書いてる通り行うのが世俗、書いてることが現実に合わなくなったら、修正しつつそれに則り政治を行うのが立憲主義。ただ、「日本国憲法」が人類の精神性の、「人類普遍の原理」の高みを体現してるのなら、それに変わる原理が顕現するまで、その精神性は維持したい、かな。

そこで、モンモントーク・プレゼンツ、第9条改憲案はー9条2まではそのままで(付則)を付け加える。内容は、国連の常任理事国と日本の近隣諸国が、9条2と同様の条項を定めるまで2項は効力を停止するってね。つまり、皆でやろうよってこと。必要なのは、"お花畑"という揶揄の前向きな肯定、真の平和の花園を真面目に目指したい。

他の条項には個人的希望としてぜひ、自由と平等という基本的人権の尊重は当然として、"切なさとやるせなさ"という基本的"感情"の尊重を加えてほしい。その保障が何か新しい21世紀の地平を切り開く気がする。

6.エピローグとしてのモノローグ
日本国憲法は素晴らしい...ハズなのに、この70年間、追随国が出ていない。18世紀に「啓蒙思想」が欧州を、20世紀に「共産主義」が世界を、それぞれ席巻したのに遠く及ばない。その理想的な「平和主義」の欠陥は何?。

ただ、アメリカのリベラルの精神性が、戦後日本のそれを追ってるようにも見える。過去への憧憬と嫌悪を巻き込んで、現在を見る複雑な心情が、星条旗や国歌への態度にも表れ始めた。当然か?、当時のアメリカの若いリベラルが、日本国憲法の原案を練ったのだから。日本は、そして、アメリカは、どこへ行く?。

-衝突矛盾のある処に精神あり、精神のある処には矛盾衝突がある。-





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