コラム:週刊モンモントーク
コラム[16]-1 「地球に優しい生活」とはどういう意味か、論じよ。ーテーマ型小論文例ー
1.まずは:ブレスト
「一般論」: 自然保護、環境保全、地球を大切に、Save the earth
「主張」: 「地球に」ではない → 「自分達人類に」
「経験・見聞」: アメリカ、自動車社会←経済合理性、高速鉄道なし
「知識」: 日本、新幹線、省エネ←経済合理性
「想定反論」: ∅
「切り返し」: ∅
「決めフレ」: 「優しさ」は「地球に」ではなく「自分達に」
「結論」: 人類の生存のため、エゴ
2.そして:小論文
地球に優しい生活とは
気候変動に代表される環境問題が大きく取り上げられる中、「地球に優しい」の「優しさ」とは、環境を守り自然保護の立場を採るということだ。しかし、「地球に」ということで問題を曖昧にしてしまっているのではないだろうか。
私の滞在したアメリカは、自動車社会として知られる。どこへ行くのも何をするのも自動車が必要だ。実際、親の送迎がなければ私は学校へも通えなかった。路線バスを利用したことはないし、鉄道は一本通っているが駅がどこにあるのか知らない。人口密集地ベイエリアでさえそうだ。しかし、かつては鉄道が発達し、大都市では路面電車が走っていたと聞く。それが経済合理性により今のように変わった。
現在のアメリカは、石油消費でも温室効果ガス排出でも世界第一位である。資本主義の総本山で、経済的自由を追求した結果だ。環境が問題になって初めて、高速鉄道の導入がやっと検討され始めている。今までこのアメリカに、日本の新幹線のような大量輸送機関がなかったのが驚きではないか。
しかし日本も、「地球に優しい」というので新幹線を整備してきたのではない。やはりそこにあったのは経済合理性だ。七十年代の石油危機をきっかけに省エネ社会へと舵を切ったのも経済的な理由である。ピークオイルの可能性が言われ、今世紀中に最大摂氏二度の上昇に抑えようという国際的な目標ができた今、たまたま日本は世界で最も「地球に優しい」国になった。
つまり、経済的自由の追求だけでは結局、自分たち人類の首を絞めてしまうと気づいて初めて、「地球に優しい」とか「持続可能社会」とか言い始めた。その「優しさ」は「地球に」というよりも「自分達に」である。たしかに、七十億を越えた人口を抱え皆が豊かさを求める以上、人類の知恵を絞りより良い社会を目指すことは当然だ。しかし、そこにはある種のエゴが常にあるということを意識しておくことが重要である。謙虚であることが求められる。
(797字)
作文・小論文教室詳細
このページのTOPへ 作文・小論文教室TOPへ HOMEへ