コラム:週刊モンモントーク
[1] 入試作文小論文の型
1.自己アピール型
下記、2の「テーマ型」の一種だが、特に自己アピールにつながるもの。小中学生の「作文」は、ほぼこの範疇に入り、高大の「小論文」も、直接、自己の体験を聞かれていなくとも、異文化交流が絡まるものは、必然的に、異文化体験を含めて論述することになるので、自己アピール型。
文化の違いとは価値観の違いであること(文化論)を述べながら、多様性への理解、共感や共生の必要性、重要性を説いていく。価値観の違いとは、感じ方、考え方の違いであり、完全な克服は難しい、が、それを踏まえた上で、どう取り組むかを、自己の経験から提案するのがセオリー。
近年、上級学年の入学試験、編入試験になるほど、異文化体験そのものを聞く、ド真ん中直球の出題は減っているが、自己の立ち位置、アイデンティティ(座標軸)を把握することなしに、本来、いかなる意見も表明することはできないはず。よって、必ず抑えておくべき題材、型。
2.テーマ型
テーマを与えられ、それに対して問題設定をし論述する。文化論が関係すれば、上記、1の自己アピール型に持ち込める。が、現代社会の諸問題について客観的に聞かれることが多く、その背景や知識を知らないと手も足も出ないかも。ただ、すべての問題は価値観の違いから生まれるのであり、結局は「文化論」に還元されるとも言えなくはない。
社会や経済、できれば、政治にも常に興味を持ってアンテナを張るべし。学齢相当の、あるいは、やや背伸びした問題意識があれば、問題を把握し理解する力は、普通の大人に勝るだろう。そして、批判的考察のための視点・座標軸を曲がりなりにも獲得していれば、意見は自然と生まれる。
端的なテーマだけの場合と、5行前後の説明がつく場合があるが、いずれにしても、的確な問題設定に基づく問題提示がキモ。それができれば、主張は自ずから決まる。自分の経験や知識だけをもとに、ほぼゼロから枠組みを作り作品にしなければならないので、最も実力に差がつく型。
3.課題文型
ある程度の長さの「論説」を読解し、その趣旨、あるいは、関連する設問に対して論じるもの、現代社会の諸問題についての評論がほとんど。2のテーマ型とは違い、議論の前提が与えられるので、読解力と要旨要約力があれば、ただテーマを与えられるより、問題設定は楽。
テーマ型同様、社会問題が題材となるが、背景となる知識は、中学までのすべての学習に、高校社会の基本を押さえておきたい。教科の学習はともすると、断片的でまとまらず、小論文に生かしづらいが、考察の視点が定まれば、点が線となってつながり、問題意識が芽生える。
近代からポストモダンへの歴史や科学の流れを押さえることで、高校までの、いや、中学までの教科の知識でも、かなりのことが言える。やみくもな読書ではなく、その線に沿った読書やリサーチがさらに幅を広げる。そして、その文脈の中で、議論し考えを深めることで、必然的に問題点が整理され、主張が生まれる。
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