作文・小論文−入学・編入試験対策、さらに超えてその先へ

コラム:週刊モンモントーク

前のモンモン  モンモンTOP  次のモンモン

[16] 「テーマ型」と「課題文型」再び−たとえば「環境問題」

1.「テーマ型
例1: 現代社会において最大の問題は何か、論じよ。

→ これ、もちろん、「環境問題」を選ぶ必要はないが、他の様々な問題は人間が活動するからこそ起こるのであり、「地上から人間がいなくなれば環境問題は解決する」って誰かが言ったそうだが、そりゃ、環境問題どころか、すべての問題が解決するでしょ、だって、「問題」は人類だけが作り出すのだから、「環境」が生存に関わる最大の問題。

例2:「地球に優しい生活」とはどういう意味か、論じよ。

→ うん、地球が廃棄物で苦しんでいる絵や、地球を抱きしめている図柄、あるよね。でも、当の地球にもし意識があったとしても、何とも思ってないでしょ。46億年前に誕生して以来、何度かの「スノーボールアース」さえ経験したんだし。「地球に優しい」って結局、「人類に優しい」ってこと、「環境問題」は「人類問題」。 ‐小論文例‐

例3:気候変動が問題になり環境への配慮が課題だが、持続可能な社会のために何をなすべきか、論じよ。

→ そう、核心に近づいてきたね、「持続可能な」社会や開発、発展、すべて人がどう生き延びていくかの問題提起。どうより良い生を生きるかの問題。そう、どのように、各個人が自由と平等を追求し、正義の下、社会を、国を、世界を成り立たせるかって問題。共生、共感、共存、協力、調和、相互理解、人が「生きる意味」を探る。

例4:二酸化炭素の排出を抑えるために原子力発電を推進すべきだ、という主張に対してどう考えるか、論じよ。

→ う〜ん、そう来たか、ど真ん中の直球、「持続可能な」ためにはエネルギーが不可欠、が、環境を犠牲にはできなくなった。温暖化ガス排出ゼロの原発、是か否か。環境的には満点、が、事故が起これば...。過去の原発事故はすべて人為的原因...、が、それを「事故」という...、運用の透明化による人類の叡智の結集?。「存在の意味」を問う。

テーマが具体的になればなるほど枠がはまり、論ずべきことが限定されてくる。その時、視点が定まっていれば、論ずべきことは自ずと決まる。抽象的なテーマであるほど、自由に切れのある論評ができるとも言える。


2.「課題文型

そして、完全に枠をはめ、前提となる問題意識を共有した上で論じるのが「課題文型」。課題文が読み取れないと、問題意識の共有ができない。読解力と要旨要約力が必須。逆に、それができるなら、問題設定は楽とも言える。


例1:課題文要旨: 「環境問題というが、公害問題は、先進国でははほぼ問題ではなくなった。2015年、パリのCOP21でも、焦点は『気候変動』であり、今世紀中の気温上昇2℃以下が目標とされ、先進国、発展途上国の別なく、各国が独自の目標を定めその達成が義務化された。ただし、目標設定の仕方は統一されず、罰則規定もない。」

設問1: 要旨を150字以内でまとめよ。 → 上記。
設問2: COP21での成果と問題点を踏まえ、考えを述べよ。

→ 温暖化ガス(CO2)削減問題を正面から取り上げた模範課題。その成果をよしとし、目標達成への道筋をどう担保するか。結局、透明性のもとでの援助と協力?、ITやAIを含めた科学技術の発展に期待?。太陽光、風力などの代替エネルギーに、藻エネルギーや小型核融合炉など新知識を披露する?、「水素社会」は?。

例2:課題文要旨: 「2015年、パリのCOP21では、196の国と地域が、温室効果ガス削減に関する『パリ協定』を全会一致で採択した。しかし、今世紀問題となるのは、中国の『PM2.5』に代表される、従来型の公害ではないのか。アフリカを含めた発展途上国が、先進国型の工業社会になるのはこれからであることを軽く見てなならない。」

設問1: 要旨を150字以内でまとめよ。 → 上記。
設問2: 筆者の視点に賛成か反対かを明らかにして、考えを述べよ。

→ これは、ちょっとした変化球。21世紀が20世紀の続きだと考えれば、そうだと言いたくなる。が、従来型の公害は、技術援助・協力により抑え込むのが当然で、今世紀中に100億に達する人類の活動を考えた時、飛躍した発想が必要。温暖化への取り組みを梃子に、化石燃料に頼らない新エネルギーが、全く新しい社会の仕組みが出現する。


3.「テーマ型」と「課題文型」−どちらが易しい、取り組みやすい?
真に自由に書けるのは、できるだけ抽象的で端的なテーマのみを与えられた時。本当は、自分のその時の問題意識から自分でテーマでさえ設定し、問題提示し論説するのが最高に思考が充実する。それが本来の意見発表の姿だから。型にはまり、相手(出題者)の問題意識に合わせる必要があるほど、書きづらい、はず。

が、近年「課題文型」が増えてきた。それは、端的なテーマだけでは、「問題提示をし考察する」ことができない受験生が多いから。そしてこれからは、端的なテーマ(絵や図表だけのことも)が復活しそうな状況も、それが理由。自由に書け、と。自由な発想から人間性が見たい、と。もちろん、「自由」は何でもありの自由じゃないが...。

「一般論を把握、問題点を切り出し問題提示、解決策を探る」力があってのこその自由な発想。結局、「テーマ型」も「課題文型」も関係ない、問題意識を持ち社会を見つめ、座標軸を定め深く考えているかどうか。





前のモンモン  モンモンTOP  次のモンモン

作文・小論文教室詳細

「作文教室」詳細  「小論文教室」詳細  「作文・小論文添削面談」詳細


このページのTOPへ  作文・小論文教室TOPへ  HOMEへ





↑ PAGE TOP