コラム:週刊モンモントーク
[2] 小論文の書き方十箇条
1.まずは、5段落構成の小論文(Five-Paragraph Essay)を心がける。
英文エッセイの基本パターン、5段落構成が書きやすいだけではなく、意見文の基本構成となる。ただしそうすると、日本語の場合、普通900~1000字になってしまう。さらに、入試の標準時間、60分ではきついかも。60分800字となると、4段落構成で、内容は5段落の時と同じとする、変形FiPara(ファイパラ)が無理がないかも。
「序論(1段落)→本論(3段落)→結論(1段落)」を基本とする。変形FiParaは、本論を2段落構成とすることで、全体が4段落構成になる。型をまず固めてこそ、課題に合わせた応用が利く。
2.小論文には、自分の意見=主張がある。
これは当たり前といえば、当たり前。でも、あまりにも独創的な主張は危険。人の思考は、想像、空想、妄想の順に独創性が高まる。が、その順に現実性が薄れるとも言える。空想の後半から妄想にかけては、現実社会への問題提示というよりも、芸術的な表現に近くなる。
小論文に書く主張は、現実に立脚したものでなきゃ駄目、つまり、言ってみれば案外、陳腐なものになりがち。それを恐れるな。逆に言えば、独創的な主張にこだわる必要はない。そこに至るまでの道筋こそが大切。
3.その主張を、序論(第1段落)で、はっきりと明らかにするか、あるいは、問題提示し仄めかす。
フックとなる「一般論」→「しかし」→「主張/問題提示」、と切り返す形にする。ただし、一般論と自分の主張の境目は、自由に決められる。これ大事。つまり、どこまでを一般論とするかは恣意的なもの。一般論とは議論の土台、自分の主張を展開するための前提条件、いわゆる「一般的な」常識である必要はない。
「主張」は序論で明確に“文字通り”主張し、明記したほうがわかりやすいし書きやすい。が、一般論(現状分析)に「問題提示」する形で、主張を仄めかす型を、ぜひ、マスターしたい。
4. 第2段落、 第3段落は、経験、見聞、知識で主張を補強する。
これが根拠。特に、経験は自己アピールにもなり、実際、独創性が最も出るのはここだったりする。結局人は、自分の経験談こそが他人を惹きつけるのかも。特に、試験作文で、調べることも何もできない時は、豊かな経験は強力な強み。だから、日々の体験を大切し、意味を探れ。
本論(3段落構成)の前半2段落だが、①「経験」+「経験」、②「経験」+「知識」、③「知識」+「知識」の3パターンがある。それぞれ長所短所がある、課題に合う最も効果的なパターンで書く。
5.第4段落は、「譲歩段落」にする。
「譲歩」は、ひとつの段落にならなくとも、必ず入れたい。これがあるとないでは、議論の深み、説得力が全く違う。そして、譲歩を入れるには、主張がはっきりしていないと入れられない。だから、3段落目までで、主張と根拠ををきっちり明らかにする。
逆に言えば、主張と根拠を思いっ切りはっきりと述べていれば、言い過ぎたかなと自然に譲歩したくなる。「もちろん」→「予想される反論(一般論)」→「しかし」→「主張の補強」、と切り返す。つまり、第1段落の進化形になる。
6.結論(最終段落)で、主張を別の視点や言葉で繰り返す。
ここまで来れば、主張が伝わり、根拠に支えられ、読者はかなり説得されているはず。ここですかさず、決めフレーズを入れる。決め言葉、殺し文句、キャッチ、呼び方は何でもよい。「決めフレ」で好感度120%アップ、読み手は、もう一度読み返したくなる。
つまり、興味を引かせるエンディングで、心に残る作品にする。読み返したいと思わせ、行動に移させることができれば大成功。合格は約束されたも同然。
7.書く前に、必ずブレインストーミングをする。
原稿用紙に書き始める前、5〜10分は、必ず「ブレスト」をする。この時間は無駄ではない。何をどう書くか、構成は、組み立てはどうする、キーワードは、キーセンテンスは、等、練習時と同じように考える。使えると思ったものはメモ、過去の自分の作品の中に使えるものがあるか、脳内ファイルを高速で繰る。
本番の試験は、一発勝負。まず、書き直しはできないと思ってよい。ただ、「問題意識を持ち、批判的に考察する」ことを自分のものにし、「考察の座標軸」が定まっているなら、余裕を持って見通しを立てられるはず。
8.全体を通して、キーとなる言葉を意識的に使う。
主張となるキーワードはもちろん、主張につながるキーワードも意識して取捨選択する。それぞれの点が線となり、自然に主張につながるのが理想。小論文では、キーワード間に論理の飛躍が、ある程度あるのは想定内、というより、読者に「ここの所をもっと詳しく聞いてみたい」と思わせられるか。新しいトピックを付け足さず、さらに詳しく書けるのか。
接続詞や副詞も意識せよ。無意識に鉛筆が走るままに使わない。ここ一番で効果的に使用せよ。また、上級学年になるほど、ことわざ、慣用句、故事成語等の効果的な使用は難しくなる。が、使えると思ったら挑戦してもよい。
9.書く前、書いている途中、提出する前に、注意点を確認する。
組み立て、構成が決まれば、一気呵成に仕上げることになるが、はやる筆をやや抑え、大幅な書き直しはできないことを胸に、慎重に書き進めよう。途中で浮かんだ、キーワードやフレーズは、どこで使うかを考えつつメモしておく。
「主張」→「根拠」と書き進めたら、「譲歩」の前で一呼吸、当初考えていたので良いか吟味する。さらに、「譲歩」まで書き終えたら、全体を再度、俯瞰、第一段落と呼応するよう、最終段落をキメル。
10.以上を心に留めた上で、何をどう書こうと本来は自由である。
これは、常に心の隅に置いておこう。批判的思考の基本だ。ただ、「自由」の意味を履き違えないことも基本だ。それがわかった上で、自由奔放に書くなら、それもよいかも。
・テーマに対し、どのような体験から、何を考えたか、悩んだか、喜びを共有したか、そこから他人に伝えたい何(主張)が生まれたかを書きたい。 ・相手は大学教授、知識では負ける。「思考過程」「経験」で、ほおーっと感心させる。 |
[その他:練習中は]
1.履修した小論文教室の復習をしてから書く。
2.コピーしなければ、過去の作品の題材を使ってよい。さらに、深める方向で。
3.調べた語句や言い回しはメモをする。
4.780字から1000字書く。
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