作文・小論文−入学・編入試験対策、さらに超えてその先へ

コラム:週刊モンモントーク

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[10] Five-Paragraph Essay

1.「序論(1段落)-本論(3段落)-結論(1段落)」の5段落構成が基本
小論文の構成は、英文エッセイ、Five-Paragraph Essayと呼ばれる5段落構成が基本。課題の出され方によっては、ピッタリと来ないこともあるが、その時は臨機応変、変えればいい。基本の型をマスターしていればこそ、その場で的確に構成を練り、全体を組み立てることができる。スポーツや武道と同じだ。

ただ、日本語で普通に5段落書くと、900〜1000字は行ってしまう。これは、入試標準の60分800字(原稿用紙2枚)制限があると悩ましい。時間との勝負もあり、その時は、変形FiPara(ファイパラ)にする。本論を2段落にし、見た目は4段落構成だが、実質、内容を5段落構成とする。

そして、その基本の型をマスターするには、「テーマ型」小論文の練習をまずはすべき。そもそも「論文」とは、テーマを決め(与えられ)、リサーチし、根拠を示しつつ、主張を展開するもの。もちろん、試験本番でリサーチはできないが、練習では必要なことはどんどん調べ、知識と思考を深化させるべき。「課題文型」小論文もその延長線上にある。

日本の400字詰め原稿用紙は、200字×2段落×2枚の「起承転結」型で作られたのだと思う。時間は60分でも仕方がないが、5段落、字数は1000字の方が、はるかに書きやすい。「縦書」の廃止と合わせて考えてほしいね。

2.5段落構成の基本的な型
(1) 序論(1段落構成)
   【第1段落】:「一般論」→「しかし」→「主張/問題提示」と切り返す。
   ・ 「一般論」とは議論の土台、読者を土俵に導き入れるもの。いわゆる「一般的な」常識である必要はない。
   ・ 「一般論」とは枕でありフック、読者の注意を引きつけ、自分の主張を展開するための準備、前提条件。
   ・ 「一般論」と自分の「主張」の境目は、自由に決められる。どこまでを一般論とするかは恣意的なもの。
   ・ 「主張」を、ここで、はっきりと明らかにするか、あるいは、「問題提示」の形で仄めかす。
   ・ 「主張」も、もちろん、独創性を追求するが、ほぼ常識的な主張に落ち着くはず。それを恐れるな。

どこまでを議論の土台(一般論=現状分析)とするかで、深い議論、考察になる。これが弁証法。たとえ主張が陳腐でも、問題把握をしっかりとすることで、主張に魅力が生まれ、根拠は何だ、とさらに読みたい気にさせる。

(2) 本論(3段落構成)
   【第2、3段落】:「経験」、「見聞」、「知識」、「情報」で、主張に根拠を与える。
   ・ 「経験」「見聞」は、文字通り自分の1回限りの体験であり、最も独創的なもの。
   ・ 人の「経験」「見聞」は、すべて意味を持っている。「主張」に根拠となる意味づけを行う。
   ・ 偏らない正確な「知識」や「情報」は、小論文に客観性を与え、経験部分の記述に信頼性を持たせる。
   ・ 「知識」や「情報」を端的に表せるキーワードを意識的にストックし使用する。
   ・ ①「経験」+「経験」、②「経験」+「知識」、③「知識」+「知識」の3パターンがある。

貴重な体験を生かすも殺すも、自分の中で体系化され意味づけられているかによる。つまり、読書を、議論をすべし、ということになる。見聞を広げ、知識を増やすべし。必然的にそれらは、小論文の題材にもなっていく。

   【第4段落】:「譲歩段落」とし、主張に説得性を持たせる。
   ・ 「もちろん」→「想定反論(一般論)」→「しかし」→「根拠の補強」、と切り返す。第1段落の変形になる。
   ・ 「想定反論」は、議論が一人よがりにならないためのもの。1段落取れなくとも、必ず入れたい。
   ・ 「想定反論」は、3段落目までに「主張」の「根拠」をはっきりと押し出す中で必ず、心に浮かぶはず。
   ・ 「想定反論」のために、言い過ぎたかなと思わず譲歩したくなるほど思いっ切り、論を展開してもいいかも。
   ・ 「根拠の補強」は、2、3段落に続く、3番目の根拠になる。当然、「経験」か「知識」で「想定反論」に反論する。

一般社会での「譲歩」は、価値観vs価値観、利益vs利益、からの妥協へ向かう処方箋だが、小論文での「譲歩」は、客観性を持たせることで、議論に深み説得力を与え、「主張」をさらに押し出すもの。妥協は必要ない!?。

(3) 結論(1段落構成)
   【第5段落】:「主張」を別の視点や言葉で繰り返す。
   ・ 第1段落で、「問題提示」の中に「主張」を仄めかしていれば、ここではっきりとまとめる。
   ・ 第1段落で、「主張」をはっきりと述べていれば、呼応する形で繰り返す。
   ・ 「決めフレーズ(決め言葉、殺し文句、キャッチ)」を意識的に入れる、ことを普段から心がける。
   ・ 「決めフレ」は、議論が自分のものになっていれば、自然と浮かぶようになる、ように練習で鍛える。
   ・ 結論では普通、完全な新情報は入れないが、随筆に近くなる場合は、決意表明等、入れてもいい。

「終わり良ければすべて良し」とはよく言ったもの。人は、最新の印象に行動が左右されがち。何事も好印象を残し、相手が心に留め、自発的な行動を自分に対して起こせば、次のステージが、向こうからやってくる。

3.なぜ、Five-Paragraph Essayが基本か
すべての議論、論文やプレゼンテーションの基本となるから。議論は、現実を見つめ状況を分析する中で感じた疑問に、ひとつの解答を提示するもの。現実に立脚していない議論は空論となり、根拠のない主張は独りよがりとなる。議論のための議論、反対のための反対にならないよう、論理展開の形式となるのがFive-Paragraph Essay。

重要なのは5段落構成ではなく、Five-Paragraph Essay の組み立て方、「一般論→問題提示→根拠①→根拠②→譲歩→結論」。必ずしも5段落である必要はない。「小」論文とはよく言ったもの、それぞれの部分をより詳しく述べたり、根拠や譲歩を増やしていくことで、いわゆる(大?)論文になっていく。

問題意識を持ち批判的に社会を見られるようになると、背景となる知識を得る過程で、必ず疑問が浮かび、自分なりの解答を考えるはず。つまり、意見が生まれるはず。その時にはすでに、現実を把握し根拠を持ち、反論も気になっているはず。人はそういうふうにできている。まずは、型に嵌めてそれを書いてみようということ。

価値観の違いって結局、現実把握の違い。一般的な現実把握が「一般論」。 目の前の現実世界にどう意味を持たせるかが違う。文化の違いって一般論が違うってこと、そして、君独自の現実把握が、君の「価値観」






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