作文・小論文−入学・編入試験対策、さらに超えてその先へ

コラム:週刊モンモントーク

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[19] 「人類」は存在するのか

第1話:「人類」を連れて来い!
火星−木星間の小惑星帯、準惑星ケレスが窓外に浮かぶ、とある太陽系外宇宙船の第一会議室、ついにミッション18が発令された−「秘密裏に人類を速やかに拉致せよ!」−♪チュルゥルルル...チュルル, ...チャ,チャ,チャ,リィ...

モンモン星からやって来た、モンモとンモン、トーキョーという都市に降り立ち、最初に見た一組の男女に擬態する。さあ、「人類」はどこだ!?、『人類様はどちらにいらっしゃいますか?』、できるだけ丁寧に尋ねる、が、視線が冷たい。聞いてはいけないことを聞いているのか?、タブーなのか?。やはり「人類」は、VIPの中のVIPなのか?。

「ジンルイー?、オレも人類、だよなォ?」、やっと一人、自信なさそうに答える、「でもよ、周りみんな、そうだぜ」、面倒くさそうに続ける−えっ!?、姿形、背格好、すべて違う、のに?−モンモとンモンは顔を見合わせる。「人類」って、視覚によっては捉えられないモノ、なのか?、どこに存在するのか?。

第2話:「人類」は存在しなかった!?
見た目も、声も、話し方も全然違う、そりゃ、話が通じるから共通点は多い...かな、でも、よーく観察すると、一人ひとり、まったく同じ個体は存在しない。彼もそうかな、『恐れいりますが、あなた様も「人類」でいらっしゃいますか?。』

「やあ、こんにちは、僕は違うよ、人型ロボットのダキューだよ、うれしいな、人に見える?」、えっ!、どうゆうこと?、「人類」じゃないって、今までの個体とほぼ同じじゃないか。「ははあ、『人類』という『普遍概念』は存在するのかって問題だね、僕、嫌いではないよ、その種の議論。でも、こんな所で大変だね。」『とんでもないことでございます。』

「永遠のテーマだよね、−人類は存在するのか−。特に中世ヨーロッパでは−針の上で天使は何人踊れるか−とともに、大論争になったんだ。だって、人類が存在するからこそ、その罪を一身に背負ったイエスの行為に大きな意味があるんだ。でも、では人類を連れてこいと言われても、誰も人類そのものを見たことがないんだ。」

第3話:「私達」は何もの!?
言われてみれば、「我々モンモン人」と言った時もそうだ、考えもしなかった。地球人は我々より、科学技術はまだまだ原始的だが、思索の面では、面白いこと考えてるな、進んでるのかどうかはわからないが。

「−普遍論争−って言うよ。人類という概念は、真に存在するのかってね。君たちは僕のこと、人類だと思ったみたいだけど、人間からすれば、僕なんかまだまだなんだ。いつか、もっと完璧なアンドロイドに進化して、見破られないようになりたいのだけどね。ところで君達は何もの!?、人類ではないよね。」『ただ今、詳しい者に代わります。』

えっ!?、さっき、「地球人は我々より」って思ったけど、「地球人」が存在しないんなら、「我々」も存在しないんじゃないのか?、でも、こうやって存在している。「我々」を連れてこいって言われたら、どれだけ連れてくればいいのか?、そもそも、「我々」を連れてくることはできるのか?。

第4話:「私」は何もの!?
じゃあ、モンモン人の「私」って何?、「私」であるモンモはここに存在する、ンモンも存在する、でも、「モンモン人」はどこに存在するのか?、しないのか!?、存在するってどういうこと?、「私」ってナニ。

「モンモ、君は、ンモンも、モンモン人として存在すると確信してるようだけど、わからないよ?。ンモンが僕よりずっと精巧なアンドロイドだったら?、可能性は排除できないだろ。真に存在が疑えないのは自分だけだ、それが認識の限界なんだよ。問題は、どうやって共通認識が出来上がるかなんだ。」『あいにくですが、わかりかねます。』

そんなこと、疑ったこともなかった。みんな、同じように世界を見て、同じように認識して、同じように概念化してるんだと思ってた。見方も認識の仕方も概念化も、違うかも知れないなんて、というか、それだと違って当然ってことになる。だから、問題は、みんなが、何をどうやって真実だと確信するのか、なのか。

 第5話:「存在」って何?わけがわからないよ
ミッション18−「秘密裏に人類を速やかに拉致せよ!」を完遂するには、その謎を説かねばならない。そして、「人類」の存在を証明し認識せねばならない。−♪チュルゥリー...チュルゥリー...チュルゥリー...チュリ, ...

私はかつて、リュウノスケというミケ猫を飼っていた。彼の世界認識と、私、モンモの世界認識はきっと違っていただろう。が、私、モンモとンモンの世界認識が違っているかも知れないとは、考えもしなかった。意見の相違は必ず埋められるはず、というか、私が正しいと確信することは、当然、ンモンも正しいと確信するはずと、確信していた。

言語を持たないリュウノスケにも、世界の概念化は可能だったのだろうか、たぶん、無理だろう。周りの世界を認識はするが概念化しない、概念化せずありのままに見る。それって何か、素敵だ、スーッとそよ風が吹き抜ける気分。その、概念化する直前までが、本当の真実なのかも...、わけがわからない...、ひとまず、撤収...チュリ, ...。





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