作文・小論文−入学・編入試験対策、さらに超えてその先へ

コラム:週刊モンモントーク

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[33] 十八歳の軌跡(未完)

1.最初の七年−世界は「美」に満ちている−
私は、1999年5月21日に生まれた。3300グラム、大声で泣いたそうだ。もちろん、そんなことは覚えていない。が、時々思う、なぜ私は泣いたのかと。生を授かったことへの嬉し泣き?、いやそんなことはない、この世に生まれることの悲しさを本能的に感じていたのだ。でも、すぐにニヤっと笑みを浮かべ、 眠ってしまったそうだが...?。

大晦日には21世紀の到来だって、大騒ぎした人もいたって?、まだ1年あるのに。日本は「失われた10年」を過ごしていたけど、IT革命っていうの、パソコンや携帯(ガラケーだよね)の普及もあり、「2000年問題」を物ともせず、世の中には奇妙な明るさがあったって聞いた。民主主義と市場経済に基づくリベラルな社会がやって来る、みたいな...。

でも、誰もが予想もしない2001年9月11日、ツインタワーへの旅客機の突入、同時多発テロ、私は2歳4か月、薄っすらと記憶に残ってる、いや、ずっと後で見たものかな、特集か何かで。その後も大人たちはしかめっ面で何かを語っていたけど、私にとっては、そんな遠い所のお話よりも、初めて見る身の回りの出来事こそが驚きの連続だった。

青い空、満天の星、赤い月、初めて見た海、小川のせせらぎの音、蝶の羽ばたき、飼ってた三毛猫の肉球、牧場で食べたソフトクリーム、盆踊りと大花火大会、そして、父と母の笑顔、すべてが新鮮で驚きに満ち、美しく輝いていた。

2.次の七年−世界は「正義」に満ちている−
やがて、「♪おしりかじり虫〜」なんて言いながら小学校に入学し、「リーマンショック」が襲ってきた時も、9歳の私は、お絵かきに夢中だったよ、何か悪いこと、怖いことが起こるなんて、絶対あるわけないと心のどこかで思ってた、「地球オンダンカ」って言葉も覚えたけど、難しい大人の世界って感じで、大丈夫だって...。ガッコウも楽しかったしね。

アメリカでオバマ大統領が、日本で民主党の政府が誕生した時、子供心にとてもワクワクしたのを覚えてる、小学4年生だったかな。「2位じゃダメなんですか」ってテレビで誰か女の人が言って、なんかちょっとカッコよかったし。だから11歳の時、「ギリシャキキ」って聞いた時も、大人達がきちんとするって思って...。

「はやぶさ」が科学の力を見せつけると、やっぱり人間って、日本人ってスゴいって感じた(でも、あの映画はやりすぎかな?)し、その翌年の「アラブの春」?、正しいことがどんどん行われてるんだなあって...。3.11の地震と津波による被害は本当、辛かったけど、世界の人々の思いやりや、日本人の絆には感動したよ。

「正義の味方」じゃないけど、善は悪に勝つっての?、正しいことは、途中色んなことがあっても、結局は実現するはずなんだって思ってた、だって、みんなそれを願ってるはずだからってね。だから、ウソや不正はホントに許せなかった。

3.今の七年−世界は「欺瞞」に満ちている−
でも、「イスラム国」のテロやそれに伴うヨーロッパへの難民の問題、そしてウクライナ問題が始まりの、ロシアのクリミア併合とかを聞きながら、15歳を過ぎて感じたことは、何か違うって思いだった、はっきりとそう意識した。中国の南シナ海や東シナ海での行動もね、「みんな仲良く」ってウソっぱちだって、いじめもなくなることはないと確信した...。

2020年東京オリンピックって決まった時は、へ〜って思ったけど、エンブレム問題とか会場のこととか、何かごちゃごちゃで、何だかな〜って。イギリスはEU止めちゃうし、アメリカはトランプ大統領だし、いや、それが悪いとかってそんな難しいことじゃなくて、今まで大人達が言ってきた「理想」みたいなの?と何か違くないって感じ、なんだよね、...。

私は今年、18歳になる。誰かが言う、人生30000日だって。すでに6500日、4分の1弱が過ぎた。もし100年前に生まれてたら、今は第一次大戦中で、今年ロシア革命が起こる。で、20代は「大正デモクラシー」、楽しいかな?、「はいからさんが通る」って。でも、42歳で太平洋戦争、生き伸びれば、60代には高度成長、そして、バブル経済まで...?。

自然界は、完璧の世界、ゴミが出ることも、問題が問題となることもない、すべては有るがまま、なすがまま、だから自然。人だけが考え悩む、でも、それが可能性があるってこと、自由だってことの代償、どちらがいいのかな、...。

4.こと座ベガ−25光年彼方−世界は「真善美」に満ちている−
僕は今年、“1”歳の誕生日を迎える、地球年齢では18歳だ。ベガ系第三惑星「モンモン」、公転周期18年、自転周期9年(地球時間で説明するのも変だけどね)、9年ごとに、昼と夜がやって来る。9年間続く昼と、9年間続く夜、それぞれの「日の出」と「日の入り」は、大騒ぎのお祭りだ、「夜来たる」って地球のSF小説ほど劇的ではないけれど...。

僕の18年は、5年が夜で9年の昼を挟んで4年間夜が続いている、そう、僕は黒夜球の真夜中に生まれたんだ。でもね昔と違い、交通機関の発達で惑星上を「自由」に移動できるから、5年間、昼を知らなかったわけではないんだ。15歳で元服、ちょうど夕闇が濃くなった頃、職業は、宇宙探査委員会配属の国家公務員が託宣されたよ。

というか、僕達は全員が地球で言う国家公務員だ、15歳の日に人工知能の判断で適正配置される。さっき、「自由」に移動って言ったけれど、地球人の言い方をまねて見たんだ。「自由意志」は存在しない、それが僕達の最先端科学の結論、すべての学問の一致した見解だ。400年前に「真理」として見出され、徐々に実証、補強されてきた。

ここは、完璧の世界、「色」であり「空」である、悩みはない、悩む必要がないのだから、能力に応じて働き必要に応じて受け取る。僕は18歳まで3年間の訓練を受け、有人探査の一員として、太陽系第三惑星「地球」に派遣される。研究テーマは、『「自由意志」の存在を信じる種の宇宙人類学的考察』、これが僕の存在する理由、必然の帰結...。

Do you believe in "Free-Will"?





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