英検1級合格への道-初めての英検受検記-
人生で初めて英検を受けた。もちろん1級だ。6月5日、2022年度第1回、1次試験は何とか通過したが7月 17日の2次で落ちた。11月23 日、1次免除で臨んだ第2回2次で合格、何と「Pronunciation」が10/10と、狙ってはいたが、まさかの嬉しい満点だった。 「Grammar and Vocabulary」が8/10と4つの観点の中で最低だったのが、やや意外なのかやっぱりなのか...。1.1次試験
英検でも受けてみようかなと思い立ったのは3月下旬、1次まで2か月、2次まで4か月、何とか行けるんじゃないって踏んだ。Reading(語 彙・読解)は過去問演習中心に進めた。Listeningは、習慣となっている、アメリカのラジオ放送「NPR」をスクリプトを見たりしながら、ボキャビル・読解にも注意して聞き続けた。Writing 対策は、定番の「英検1級英作文問題完全制覇」(ジャパンタイムズ&ロゴポート編)を購入。
ちなみに、過去の英語関係資格テストは、TOEIC 815 (1995 年1月)・TOEFL 575 (1998 年6月)です、懐かしい...、TOEFL、600点を目指していた時代です、行かなかったんだね。あっ、そうそう、今年の5月30日にWeb-BasedのTOEIC IPを受けたんだった。もちろん、990点満点行くと思ったんだけど、Listening495+Reading400=895、画面の字が小さ すぎるよ、準備0で受けたのもあるけど...。
過去問は結局15回分(5年分)行い、そのうち、Listeningができたのは4回で、その模試の結果がー
Reading: [1] 19/25 + [2][3] 14/16 = Reading計 33/41 = 80.5% Listening: 21/27=77.8% → 合計 54/68=79.4%
Reading: [1] 22/25 + [2][3] 15/16 = Reading計 37/41 = 90.2% Listening: 20/27=74.1% → 合計 57/68=83.8%
Reading: [1] 21/25 + [2][3] 12/16 = Reading計 33/41 = 80.5% Listening: 24/27=88.9% → 合計 57/68=83.8%
Reading: [1] 22/25 + [2][3] 15/16 = Reading計 37/41 = 90.2% Listening: 21/27=77.8% → 合計 58/68=85.3%
まあ、下手打たなきゃ大丈夫かなってところまでこのパートは仕上がった。以前ネット上で(どこだか失念しました、失礼!)、以下の結果で1次通過 との書き込みがあったけど、このパートは6割行けばOKなのか?、Writingがかなり良かったのだろうけれど...。
Reading: [1] 15/25 + [2][3] 07/16 = Reading計 22/41 = 53.7% Listening: 18/27=66.7% → 合計 40/68=58.9%
結局、6月5日本番の結果がー
Reading: [1] 18/25 + [2][3] 13/16 = Reading計 31/41 = 75.6% Listening: 25/27=92.5% → 合計 56/68=82.4%
英検CSEスコア: Reading 679 Listening 756 Writing 後述
Listeningで過去最高を叩き出したのは嬉しかったけど、Readingの[1]、語彙力が過去最低だった。これ当てずっぽが全部ハズレた 結果です。本当の実力ですね、ひとつ、ふたつ、当たってほしかったけど...
時間配分は次のように計画を立てたー
案1: 語彙 10分(25秒×25)、穴埋め読解 10分(5+5)、長文読解 30分(8+8+15) → Reading計 50分 + Writing 50分 = 100分
案2:語彙 15分(30秒×25)、穴埋め読解 15分(7+7)、長文読解 40分(10+10+20) → Reading計 70分 + Writing 30分 = 100分
案3:語彙 15分 + 読解45分 + Writing 40分 = 100分
結果的に「案1」で進めることができWritingに50分充てられ、Writingでのヘマ(後述)を何とか挽回できた。Writingを先に 片づけてしまえというアドバイスを見かけるが、好き好きというか、得手不得手、Writing対策の仕上がり具合、当日のお題との相性によるだろ う。30分以内でそれなりに書けると踏めばありかな。1次Writingのお題が一点決めなのが丁と出るか半と出るか。
さて、そのWritingだが、英検CSEスコア625、正答率66%、合格者平均には遠く及ばず全受験者の平均正答率とほぼ同じ。まあ、実力不 足の一言だけど、言い訳と不満を述べるならー
1.鉛筆書きで英文エッセイを書くなんて数十年ぶり、手が動かず字が泳ぎ大きな字になり書きづらく、aとuとか区別しづらい。
2.普段はもちろんキーボード打ち込みでスペルチェッカー使用、今回手書き(これが主犯)なこともあり綴りがあやふや。
3.お題が「Agree or disagree: Genetic engineering will have a positive influence on society in the future」で、生物学・医学は不得意分野、対策が不十分。社会問題(環境・原発・教育・格差・ベーシックインカムなど)に山を張っていた。
手書き対策してなかったんかいって言われればそれまでで、一回もしていなかったんです...、でも、1998年に受けたTOEFLでさえ、コン ピューター画面でのキーボード打ち込みだったような記憶が...。でも、まあ、前述の通りWritingに50分の時間を残したのでまあ何とか余 裕で書き終わった、で、単語数を数えたところ、200語...ない..180くらいしかない...字が大きすぎた...各段落の文の数も長さもイ マイチ...
パニック、残り時間は10分...あったかなかったか、消して書き直す時間はない。最終段落冒頭に「譲歩」を入れた4段落エッセイ(典 型的5段落エッセイの変形-「変形FiPara」)を書き上げていたと思う、あまり覚えていないが、その最終段落に継ぎ足し何とか 200語を数えたと思う。最終段落が他の3つの段落の2倍以上になり不格好になったのを覚えている。
Writing対策はした。「英検1級英作文問題完全制覇」(以下「完全制覇」)は、もちろん読破、キーワードをまとめ暗記学習(暗記したとは 言っていない)、全部のお題ではないが自分なりの回答を用意した(「英 検1次 Writing(Essay) 例」参照)。練習では5段落エッセイを心がけ、Bodyの3段落の3つめに「譲 歩段落」を入れてみたりもした。
「手書きがー、昭和(とは言ってないか)がー」とは言ってはみたが、この後、2次で悲惨な結果で滑ったのを見ると、やはり、アウトプット能力の圧 倒的な不足だろう。Listeningは普通の英語なら聞き取れるし、Readingも気合を入れれば何とか読める、語彙力も1万5千は超えてい ないようだが、1万語強はあるようだ。「英 文エッセイ」を見てもらえばわかるように指導 もそれなりにしてきた。
そうしてれば、自然に書いたり話したりできるようになるものと考えていた。インプットを十分にすれば水が溢れるように自然とアウトプットされるだ ろうと。サバイバルイングリッシュならそれでOKだが、でも、アカデミックなことをアカデミックに語るなら、それなりの訓練が必要だということに 気づいた。しかし、凡人がその当たり前のことにやっと気づくためには、2次の結果を待たねばならなかった。
2.2次試験-1回目
Writingがボロボロだとわかっていたので今回はダメだなと思っていたら、合格だった。えっ、あれで合格?っとなり、2次対策が疎かになっ た。6月20日のWeb発表まで何もしていなかった、2週間を無駄にした。7月17日の2次まで1か月を切っていた。ネットの格安英会話教室のひ とつが、1か月無料体験(1日1レッスンだが毎日可能)をしていたので入会した。
対策本として「英 検1級面接大特訓」(植田一三編集、以下「大特訓」)を購入、「完全制覇」同様に学習を進めたが、「Short Speech 原稿」も1次Writingのときの半分回分しか自作できなかった。ネット英会話も毎日すればいいのに、結局、8回位 しかしなかった。後で家人がいうには「ワシ、英語ペラペラだしー」とか言ってたらしい、覚えてないのだが...
車で2時間、そこから電車で1時間半、徒歩15分、やっと2次試験会場に着いた。早朝4時半起きであった。"Agree or disagree: Democracy itself is under threat globally."、もうちょっと長かったような気がするが、5つのトピックから選んだのが、こんな感じのお題だった。何をしゃべったかほとんど覚えていないが、 disagreeで始めてとにかく話した。1つ目の理由を終え、2つ目に入ったところで2分のチャイム。
"Democracy is very important because -" みたいな内容のないことをグダグダしゃべったような気がする。続く4分間の Interaction で「America がどうたらについて詳しく...」みたいなことを聞かれたのを覚えているので、2つ目の理由は、アメリカの現状からそれでも民主主義は大丈夫だ、みたいなことを話そうとし たみたい。
ああそうだ、Ukraine と英語発音をしたのを思い出した。ウクライナ戦争のことを民主主義の重要性の文脈で言ったんだ、"Democracy is much better than autocracy." みたいな感じで。そうしたら、アメリカでも(って言ったのかなあ?) "authoritarian style of leadership" のような現象があるよねって言われて、"You mean former President Trump?" って聞き返し、何かムキに反論してるとチャイム。
聞き返してよかったのかなあ、"I was wondering if you meant former President Trump. If so, I would say -" みたいにもっとスマートに落ち着いて受け答えできていれば...。ただ、沈黙は0でとにかく話し続けた。Short Speech も Interaction も時間切れの中途半端、Grammar and Vocabulary もつられて言わずもがなのグタグタ、Pronunciation だけは評価されると思っていたのに...。
結果は、Short Speech 4 Interaction 5 Grammar and Vocabulary 5 Pronunciation 6 CSEスコア 574 英検バンド G1-2 で不合格。総合スコア 2634、合格基準が2630なのでギリ合格レベル、でも、「CSEスコアが合格基準を超えていても、二次試験が不合格の場合は、級認定されません。」 ReadingとListening、いかにインプット部門で稼いだのかがわかる。
3.2次試験-2回目
実は、1回目2次試験、それぞれ 6-6-6-8 の合計 27、CSE 602 位でギリ合格と希望的楽観的自己中的に予想してた、甘すぎた。Pronunciation でやっと 6 とは。結果判明が7月26日、即、1次免除で11月の第2回2次受検を決意、4か月ある。傾向は把握した、内容のあることを、5 段落エッセイの構成に基づいてとにかく2分間スピーチする。そして4分間、静かに質問に答える、議論はしない、ここ大事。
学習方針はー
1.「完全制覇」「大特訓」をやり直す、特に「完全制覇」の前半部分、キーワード入りの短い文章を読み込む。
2.第1回受検用に書いたSpeech原稿はもちろん、Writing 原稿もSpeech用に活用する。
3.オリジナルSpeech原稿をさらに書く。
4.Youtubeで発音や抑揚を学ぶ。
5.NPRでの学習は続ける。
6.会話の練習はいらないので、格安英会話学校は利用しない。
1次免除、語彙のテストがないのでボキャビルはサボれ、Writingがないので正確なスペリングを気にする必要がない、これはありがたい。日本語小論文や英 文エッセイを指導してきたので、主張する意 見やその根拠はその場で出せる(はず、でないと...お題が5つあるから、まあ大丈夫、だと思う)。後はそれをどうSpeechする かだ。
今回も、「犯罪・死刑・安楽死・医療・体罰・非行」など、自分的に心がネガティブになるものは学習していてワクワクしないので、最初から捨て、 「環境・原発・宇宙・科学技術・教育・格差・UBI」など、問題山積だがポジティブに取り組める課題中心に学習する。また、「完全制覇」と「大特 訓」、評判のいい参考書なんだとは思うが、ポリコレの匂いが強いので論調はあまり気にしないと決める。
そして、ここがポイントなのだが、英検1級のWritingやSpeechのお題に取り組んでいくうち、そのうちの3分の2は以下の流れで意見・ 根拠を述べられるのではと感じた。人が人である限り社 会的問題がなくなることはなく、よりより社会、自分的には、よりワクワクする社会を目指すしかない。その時のキー ワードは「流動性」で、下の流れで論を進める「英文エッセイ-流動性- テンプレ」を作成した。
★ 「社会的流動性」→「活動の自由」→「ダイナミズム」→「経済の発展」→「社会的流動性」→(以後、正の ワクワク・スパイラル)
上記以外特別なことを何もしないで迎えた11月23日、前回と同じ早朝4時半起床で試験会場へ向かう。お題は5つ、「流動性」を軸に組み立てられ る課題が必ずあるはずと確信しその時を待つ。そして、選んだお題が "The disparity between the rich and the poor should be of bigger concern for all of us."、こんな感じだったと思う。こんな感じで「流動性-テンプレ」に沿って回答した、と 思う。
Speech終了と同時にチャイムがなり、4分間の質疑になったが無我夢中で内容をほとんど覚えていない。たぶん "Indirect taxes are better than direct taxes." みたいなことを流れの中で言ったからか、最後に「間接税が直接税より公平な税である理由は?」みたいなことを聞かれ、ややグダグダになりながら次のように答えた(こんなに 整然とした文じゃないけど...)ところで4分終了のチャイム。
"That's a difficult question, or I should say that's a good question. As you know, I'm not an expert, but I'll try to answer the question. I said indirect taxes are better than direct ones because take consumption taxes for example, they are much fairer since the rich pay more taxes than the poor."
そして結果が、Short Speech 9 Interaction 9 Grammar and Vocabulary 8 Pronunciation 10 CSEスコア 664 英検バンド G1+3 総合スコア 2724 で合格。CSEスコア92アップ、英検バンド+5アップ、総合スコア90アップ、繰り返しになるが、Pronunciation 満点は素直に嬉しい。Grammar and Vocabulary が8なのは、やはり、アウトプット能力に難ありということなのだろう。
4.エピローグ
Writing以外は何とか目鼻が出そろった。Writing結果の顛末は話のネタにもいいかな、本当は圧倒的なアウトプット練習不足なのだ が...。再度挑戦する(ちなみに英語の challenge はこの文脈では使えないよね)...ってことはないかな、暇になり一区切りつけてみようかと思っただけだし、趣味で何回も受けてる人はいるようだけど、これが最初で最後か な(2次は2回受けたけど...)。
でも結局、コミュニケーションってのは内容勝負なのかな。コミュ力がよく強調されるけど、それは内容のないことをペラペラしゃべって会話をつなぐ ことではなく、自分の伝えたいことを的確に伝え、相手の伝えたいことを的確に捉え、そして、新しい何かをチームで創 造していく下地を作れる能力のことだ。つまり、伝えたい内容がお互いにない、必要がない場合、「沈黙は金」となる。
何語でもいい、この流動的でエキサイティングな21 世紀の社会を生き抜くために、歴史を学び世界観を鍛え、ひとまずの座 標軸、価値観を定めよということだ。そして、社会にアンテナを張っていれば、意 見やその根拠はいくらでも出てくる。人はそんなふうにできている、というか、そんな遺伝子が生き延び、ヒトを形作り社会を営んでき た。
だから、後は、そんな自分の思いを乗せ伝えるためのキーワードを整理し使えるようにすることだ、まずは母国語で、そして、英語なら英語でコミュニ ケーションするためのキーワード、道具としての英語とはそういうことだ。もともと言語とはそのための道具であったのだ。