コラム:週刊モンモントーク
[27] クールジャパンと自由の国アメリカ
1.
パッヘルベルのカノン、確かに美しい、弦楽器の音色、初めて耳にする誰もが、その見事なカノン形式の旋律に感動する。 その美しさは、やはり、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」に通じるもの、生きる歓びか。 もちろん、生きることそれ自体が持つある種の切なさも垣間見られるが、やはり、「神」によって導かれる安心感がある。
対して、山下の「クリスマス・イブ」、切なさ・やるせなさと共に、無常観がある。 侘び寂びにも通じる何か、忘れてしまった何かを思い出させる心の疼き、郷愁、西洋が東洋に出会う、みごとな換骨奪胎、だから、クールジャパン。
2.♪We Three Kings of Orient Are
♪我らは来たりぬ、はるけき国より星に導かれ野山越えて、とメルキオール(Melchior)とバルタザール(Balthasar)とカスパール(Casper)、東方の三博士(Magi)が、イエスの生誕を祝いにやって来る。アメリカ人なら、もとい、キリスト教徒なら、誰もが知ってる物語。 ♪輝く夜空の星の光よ、から、まず思い浮かべるのも、この「ベツレヘムの星」。
クリスマスは、イエスの生まれた日、とされる日、救世主、メシアの降臨した日、とされる日。「救いの手は差し伸べられた」とされる日、7日後に西洋紀元が西暦元年として始まった、とされる日。クリスマスイブの厳かさは、そのスピリチュアルな崇高さは、日本の大晦日、百八つの除夜の鐘にも優るとも劣らず、精神文化の双璧。
そして、そこになぜか、良い子が大好きなサンタクロースがトナカイの鈴の音とともに加わる。
3.♪All I Want for Christmas is You
だから、♪クリスマスに欲しいのはあなただけ/君だけだ(You、どう訳す?、「お前(様)」ってのもアリ?、日本語の豊かさ、ほらここにも、Cool Japan)、なんてのは、伝統への社会への家族観への、ある種の反逆、宗教性への神への、いわば冒涜、
でもそれは、時には過剰なまでに意味づけられた伝統への、こうなんだよ社会はという、得体の知れない息苦しさへの反抗、束縛への抗い、そう、アメリカ建国の理念がそれ、宗教的自由を求めての渡海、渡米、その延長線上の価値観。 一周回って、獲得した価値観が足枷になる。 保守と革新の対立は、アメリカ文化に内包された必然の帰結。
これが本当の「明白なる運命(Manifest Destiny)」?、自由とは体制に守られて我がまますることじゃない、時には命をかけて、束縛からの解放を追求する、伴う責任、これが真の意味の自由、だから、自由の国アメリカ。
4.♪Do They Know it's Christmas Time at all?
前世紀80年代、アフリカが飢えた時、欧米のミュージッシャンが立ち上がった。まず、イギリスとアイルランドのBand Aid、彼らはChristmasをモティーフとしてチャリティーを成功させた。 12月リリース、彼ら自身、(おそらく)キリスト教徒、そこにはいささかの疑念や驕りはない、心からの善意の発露、それは、彼らの価値観であり文化。
そして、USA For Africa、言わずと知れた
クリスマスだけが、キリスト教だけが、一神教だけが特別?、という問いに、違うよ、と答える「理性」、これがポリティカル・コレクトネス、"Merry X'mas!" じゃない "Happy Holidays!" だと、これも善意、善意とはかくも残酷なもの?。
5.♪I Saw Mommy Kissing Santa Claus
宗教改革の果てに、「宗教」的真実の追求に疲弊した17世紀の西欧、ウェストファリア体制を確立させ、宗教戦争を休戦、代わって、「理性」的真実の追求に邁進、「理性の祭典」フランス革命 から、「地上の楽園」共産主義へ、「理想」追求とはいえ、やり過ぎでしょ、歴史の知恵、伝統への挑戦、ポリティカル・コレクトネスはその亜流?、残滓?。
なら、ママがサンタにキスしてもいいじゃないか、問題にすることじゃないじゃないか。そう、イブにはX'masケーキ(イチゴのね)でお祝い、すぐにツリーは手仕舞い門松の準備、大晦日にはお寺の鐘の音に六根清浄、元旦には神社に初詣で、でもいいじゃないか。 神道と仏教の国で、クリスマス・エクスプレス(♬JR東海)を走らせてもいいじゃないか。
「理性」的に考えると、なんか変、でもこれも、クールジャパン?、なぜか日本に惹かれる理由?、自由の国アメリカよりも、ある意味もっと自由な国、日本、「ええじゃないか、ええじゃないか」、日本人の世直しは今も続いてる...!?。
6.♪Saaaaaa-anta Claus Is Comin' to Town
イエスがサンタについて何か語ったとはついぞ聞かない、サンタとはセイント・ニコラス、もしかして、聖闘士?、いずれにしても、キリスト教の教えの本質ではないとして、あれが、教えの実践でいいの?。 サンタクロースを人気者に仕立てたのは、19世紀、赤い服を着て、"Ho Ho Ho" と笑いながら、トナカイにそりを引かせるようにしたのがアメリカ。
ね、価値観は変化する。 21世紀は17世紀2.0、「理性」的真実の追求に金属疲労が見られる今、少数派に配慮しながらも、多数派の文化を尊重する、新しい価値観が出現する。 クールジャパンで!?、自由の国アメリカで!?。
-♪Heal the world. Let THEM know it's Christmas time again.-
そして、言おう...キリスト教徒じゃないけど...^^;
-Merry X'mas!-
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