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コラム:週刊モンモントーク

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[45] 「明白なる運命(Manifest Destiny)2.0」

1.♪Born in the USA
1845年テキサス併合を求め、「神意により割り当てられたこの大陸を覆い尽くすことは明 白なる天命である」と初めて高らかに謳われた、が、その暮れのオレゴンに関する、より影響力を持った主張では「それは、自由の試み、および、連邦制自治政府の試みを推し進めるためである」と 理性的に昇華、領土拡張は付随的なものとされた。

自 由民主主義の壮大な実験をアメリカは自負した。確かに 19世紀の列強は君主制が主、アメリカ独立革命に続いたはずのフランスは、革命後皇帝ナポレオンが登場し、その後第二共和制をへて第二帝政へ と揺れる。価値観の急激な変化の中、世界は弱肉強食のジャングルと化し、国も個人も生存がまず第一の目標となった。

100年後にはすべての帝国が瓦解してる とは誰も思わず、その「明白なる天命」の達成こそが危うく脆いと意識されたかも?、事実、南北戦争がすぐに勃発、当時アメリカに生まれるとは そんな社会に生を受けることだった。

2.It's My Life
確かに短絡的な「明白なる天命」は、フロンティア開拓・ハワイ併合・ フィリピン獲得の正当化の根拠になった、が、2つの世界大戦を経て、その理想の原点「自由主義と民主主義」の伸張を再度天命と確信、共産主義 国家ソ連を冷戦の末1991年に崩壊させ、「歴史の終わり」が叫ばれ、自由の国 アメリカの繁栄は約束されたかに見えた。

グ ローバリゼーションがアメリカナイゼーションと揶揄される所以だ。自由主義経済と民主主義社会の下、アメリカンドリームを世界規 模で追求し富を創出、成功者はもちろん、他の者もトリクルダウンで豊かさを享受できるはず、だった。サッチャーのイギリスをレーガンのアメリ カを蘇生させた新自由主義は、燦然と輝いて見えた。

が、自由主義を支える個人主義は、道徳的支えを失えばすぐに利己主義に転化し、混沌とした Anythinng Goes の社会が出現する。価値観の変化は加速し、確固たる生きる意味を求めて誰もが、自分の人生を探し始めた。

3.Summer of '69
69年アポロが月面に着陸し偉大なるアメリカを誇示してもなお沸き起こる、何か変 だよという抑えがたい感情。自治と民主主義、権利、人権、自由と平等の均衡の追求、永遠の課題それは、もうひとつの天命の心の疼 き?。63年にはワシントン大行進でキングが "I have a dream" と演説し、翌年には公民権法を成立させては、いた。

が、民主主義を守るとして介入したベトナ ム戦争は、65年にはアメリカ軍による北爆へと進み、善と悪の倒錯した状態が続く。67年サンフラ近郊モントレーで開催されたロック・フェス は、69年のウッドストックでクライマックスを迎える、背景には自然回帰を求めるカウンターカルチャー、ヒッピー文化。が、それも天命?、ア メリカ文化の一面。

「愛 と平和と音楽の三日間」は、ひと時の自由を謳歌する若者だけの夏フェス だったのかそれとも、アメリカの夢の新たな始まりだったのか、それは、人のそれぞれの想いがそれぞれに持つ「長い暑い夏」だった。

4.Hotel California
第一次大戦後の国際連盟不参加の理由はアメリカファースト、でも、その欧州大戦参戦で芽生えた、いや、蘇った「民主主義」の伸張という忘れか けてた「善」なる想い、禁酒法時代という頓珍漢な試行錯誤を経て、第二次大戦には正 義の味方として登場、戦後、400年に渡る「悪」の帝国主義時代を終わらせ、続くイデオロギーの戦いにも勝利!。

平等社会を目指し皮肉にも全体主義国家を 出現させた「悪」の共産主義に代わってアメリカは、普遍的な人権を「愛」を徹底的に追求、まさしく「明白なる天命」かくありや。が、約束され たユートピアは到来せず、理想の「人種の坩堝」は「サラダボール」に後退、アメリカンドリームの終焉が囁かれ再び、アメリカファーストが帰っ てきた。

人々は見たい夢だけが見たいと、「脱真 実」とばかり現実と空想が錯綜し、「フェイクニュースを流す自由」が「真実を報道しない自由」と入り乱れ、"いつでも check-out は可能だが、決して立ち去れない"運 命に翻弄される。

5.♪America
それでもアメリカは進む。Manifest Destiny の本質はおそらく変革、その独立の成り立ちは人の足枷手枷となるものからの自由の追求。共産主義の平 等の追求は硬直的な社会をもたらしたが、自由の追求は常に革新を希求し、その革新はやがて保守となり次の革新を呼ぶ、その本質か ら考えて、リベラリズムはコミュニズムよりラディカル。

アメリカ人が(時には幼いとも思える)若 さが好きなのはそれ。だから、アメリカで新しい文化が生まれ、新しい価値を創り出す。その都度これが天命だと確 信する、-Don't Stop Believin'- それがアメリカの運命、まあ、英語では同 じ概 念なのだが...。 生きる意味が自己の文化の中にあるのなら、人生の意味を、自分を、探せば探すほどアメリカ人は、革新的になる!??。

建国の理念を基調に常に新しい価値を創造 するアメリカ、それこそが「明白なる運命(Manifest Destiny)2.0」、天命ではない、それがアメリカの運命、建国の理念は自由、自由とはアメリカとは何だ、アメリカを探しに来たんだ...

♪I've come to look for America...
♪They've all come to look for America...
♪All come to look for Ameeeee-erica...





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