コラム:週刊モンモントーク
[36] 「現代社会の諸問題」−たとえば「少子高齢化」
1.「少子高齢化」はなぜ問題?
高齢者の割合が増え若者のの割合が減っていく、問題?。まず、自然じゃないという素朴な感覚、いわゆる人口ピラミッド、かつては、どこの国でも富士山型、というか、だから人口「ピラミッド」と名づけた。でも、その自然は、生物学的な自然、遅くとも、近代文明の下に生きようと決めた時から人は、「自然」であることを止めたはず。
人口減少が伴うから?、というのも、日本の江戸時代は3000万人前後、で、あれだけの文明と文化を築いた、西洋の開国要求がなければ、あと100年は江戸時代が続いてた?。それに、今の50代は、たぶん、江戸時代の30代、まだまだ現役、やれる、医療と環境の改善のおかげでね。問題となるなら、少子高齢化ではなく、急激な人口減少?。
ディープ・ラーニング型のAIとロボット技術、それに、ポストモダン社会に一足お先に踏み入れてる日本文化のあり方が、大人のクールジャパン・ワンダーランドを実現できる絶好の機会到来とも言えるかも!?。
2.「少子高齢化」は解決すべき問題?
確かに、労働人口が減って経済に活力がなくなるって指摘、多くの老人を少ない若者が支えなきゃならなくなるって指摘、一理ある。過疎地域の限界集落の悲哀に日本社会の未来を見、シルバー民主主義とも言われる、圧倒的多数のお年寄りのわがまま政治とも言える社会の到来の予感、確かに、問題。
でもそれって、高齢者をあまりに愚弄した物言い。彼らは人は、そんな愚かじゃない、というか、愚かじゃないから、20万年を生き抜いてきた、子孫繁栄のための利他意識、
人にしか出来ない付加価値の高い労働が当然のこととなり、経済的豊かさより心の豊かさが追求される時、お金で買えないものの価値が、Pricelessなものの価値が、「幸福って何?」という疑問とともに、本格的に問われる。
3.「少子高齢化」―小論文―
(1) まずは:ブレスト
「一般論」: 日本は少子高齢社会←ダメ、どうにかせねば
「主張」: よりよい少子高齢社会を作れ
「知識」: 日本の現状→経済停滞→生活水準維持不能
「経験」: アメリカ←メルティングポットからサラダボールへ、ヨーロッパ←移民の受け入れ困難
「想定反論」: 移民に全面反対か
「切り返し」: 技術・知識を持つ移民には賛成
「決めフレ」: 価値観のあり方が問われてる
「結論」: 今の生活様式の根本から問え
(2) そして:小論文
少子高齢社会を迎えて
日本は、65歳以上の人口が約2500万人で20%を越え、18歳未満の人口が約2100万人で20%を切り、完全な少子高齢社会であり、望ましい社会形態とはされていない。しかし、移民の増加が世界的な問題とされ、国内の出生率の大幅改善が見込めない以上、今の社会の形を与件として受け入れ、よりよい少子高齢社会を、どう作り上げるかが問われているのではないか。
日本人の平均寿命は男女とも世界一であり、それは医療の発達や栄養状態の改善に負うところが大きく、お年寄りが元気で長生きできる社会を達成している。一方、総人口は減少に転じており、少子高齢化は人口増加問題とは直接関係がない。問題は、若年者の割合が減り、労働人口が減少し国の活力が衰え経済成長が鈍ることだ。少ない若者が多くの高齢者の面倒を見る社会では、経済停滞は今までの生活水準が維持できないことを意味する。
私が中高を過ごしたアメリカは移民の国であり、先進国の中では唯一、若年労働者の数が増え続けている。かつては理想をこめてメルティングポットと呼ばれたこともあったが、結局は、異なった文化を持つ人達がそれぞれのコミュニティーを持つサラダボールだと言われるようになった。ヨーロッパの国々を見ても、移民を受け入れ、かつ、ひとつのまとまった社会を作り上げることは非常に難しい。
もちろん、移民に対して完全に国を閉じるべきではなく、高度な技能や知識を持ち、その人達にしか出来ないことが、日本社会に活力を与える場合にはどんどん来てもらうべきだ、しかし、いわゆる3Kと言われる仕事を外国人に頼るべきではない。それは、彼らに対してだけではなく、私達の社会のあり方に対しての、侮辱につながる。
つまり、今のライフスタイルを変えられるのかが、日本に問われているのだ。出生率の低下は先進国全般の傾向であり、社会的な子育て支援など充実すべき施策はまだあるとは言え、日本にとっても不可避なことである。大量移民の受け入れが現実的ではなく、出生率の劇的な改善が望めない以上、経済の停滞を最小限に押さえながらも、近代が生み出した今の生活様式が最善なのか、価値観のあり方が問われている。 (904字)
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