コラム:週刊モンモントーク
[51]「志望理由書」の書き方-実践編-
1.己を知れ!
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」、「知る」とは、その「物語」を理解すること、そしてまずは
自分の今までの過去の経験を整理し意味づけ、現在の自分を客観的に把握する。そのためには、現代社会を動かしている価値観や世界観の幅を理解し、自分はそのスペクトルのどこで生きてきたのかを改めて考えること。現在の自分が現在ここにいる理由を整理し、立ち位置を視点を定めること。それは必然なのか、偶然なのか。
そして、その自分の物語の上に、将来を未来を見通すこと、その視点から見える風景を思い描くこと。すると、現在の自分が何をすべきかが見えてくる。それは過去の物語の延長か、それとも、新しい物語の始まりか。
2.彼を知れ!
だから、「彼を知れ」とは、直接のターゲットの研究だけじゃない、社会背景の研究をも含む。時代(の物語)を読む、だ。社会は、まるでずっとそうだったかのような動かしがたい客観的存在として、個人に迫ってくる、が、やはり、時代の価値観に縛られ、時代と共に変化してる。その中で、大学や企業という組織も存在し、変化を強いられる。
その底流にあるのは、17世紀の西欧で生まれた近代的価値観、まだまだ強固な世界観だが、ポストモダンが先端では顔を覗かせ、パラダイムシフトの最中とも思わせる。そして、日本人にとって厄介?なのは、それに加えて、日本社会や自分の価値観に、日本文化の価値意識が古層として色濃く残っていること。ほら、日本文化論。
自分の熱い思いを、その社会的背景をそれこそ背景に物語る。自分の観念的な夢を、社会という現実(実はこれも人々の観念的な夢の集合なのだが)の中で、志望大学、企業、組織で具現化させるために物語る。
3.恥を知る!?
「志望理由書」とは、意中の相手と接点を持ち繋がりたいという希望の理由の書、一種のラブレターとも言える。相手の魅力を的確に述べ、自分の魅力を的確にアピールし、いかに二人が相応しいかを的確に伝え、相手に「なるほどね。ぜひ、この人と会ってみたいな。」とまずは、思わせられるか。ちょっと恥ずかしい、けど、攻めるんだ。
基本となる全体の流れは、(なぜ日本か)→なぜ〇〇か→なぜ、〇〇の△△か→将来のビジョン。その中に「過去と現在の自分」を位置づけ、全体を一つのストーリーにする。過去を背負い確立された現在の自分があり、こう有りたい将来の自分がある、だから、現在の自分は、△△に所属するのが必然だという物語。
△△が大学等の教育機関の場合、合格は目標ではなく通過点だという視点も大切。何が自分を導いてきたのか、何が自分を駆り立てるのか。ホント、ちょっと恥ずかしいけど、時には赤裸々に己を語れ。
4.型を知る?
だからその時、これが「志望理由書」のテンプレート、ここにこれを書き、ここにはこれ、っみたいなのを勧める人がいたら要注意、観光地でよく見かける「顔抜きパネル」に顔を嵌めて撮った写真みたいになっちゃう、何これって、心がこもらず滑稽で、それこそ、記念写真ならぬ記念受験?。型を言うなら、すべての基本は「序-本-結」ってだけ。
その上で、とにかく考える、推敲する、言葉を吟味する。自分の想いを伝えるために、足りない言葉は足し、冗長な言い回しは短くまとめる、あるいはカットする、他の言い方がないか考える。とにかく文章にしていく、考えをまとめるためには、頭の中で考えるだけではダメ。他人に言いたくないこともすべて徹底的に、別紙に書いておく。
気になること、説明があやふやなキーワードなど、さらに詳しく調べることも大切、つまり、時間制限のない小論文とも言える。そりゃそうだ、プレゼンテーションの一種なんだから。商品はたったひとつ、たった一人の自分ひとり。
5.心を知れ!
結局、真摯に向き合うってこと?、まあ、そうなんだけど、自分の真摯さをどう概念化して的確に伝えるか。時代を見つめ現実に根ざした想像力による創造力、「ブルーオーシャン」に乗り出す知見と自信に裏打ちされた勇気、時代を組織をリードできるリーダーの資質、あればね、「志望理由書」でも、それらを感じさせるんだ。
そのための実践編、まずは自分を磨くことは必須の必要条件だが、
たった800字前後、何度も推敲し、すべての単語や文章、その繋がりに意味を込める。言霊とはよく言ったもの、君のストーリーに周りを巻き込め、ほら、世界は君を中心に回ってる、君にとってのかけがえのない主人公は君だ。
6.エピローグとしてのあるアドバイス-人事を尽くして天命を待て!-
「ストーリーが繋がってきましたが、もう少しこなれません。まず、文章を思いつくままに書かないことです、と言いますか、書いて良いのですが、その後の推敲が足りません。たとえば、1 段落の1番目と2番目の文、2文に分けた理由を吟味しましたか。強調したい内容は文の中心に、付随的な内容は従属節に、は英文を書く時と同じです。」
「そして、その『しかし』がポイントです。その前がフック、その後に続くのが主張というのは、小論文教室でも触れている通りの文章展開の基本です。すべての言葉や言い回しに意味を込めてこそ、心が伝わります。」
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